戸籍収集と相続人調査
ご親族のどなたかが亡くなることで発生する相続の手続きで最初に行うのが相続人の確定であり、そのために被相続人の出生から亡くなるまでの連続した全戸籍謄本を収集します。
戸籍は被相続人が生前に戸籍を置いていたすべての役場に問い合わせる必要がありますが、結婚や引越し等により複数回転籍しているのが普通です。
すべての戸籍をそろえるにはかなりの時間と手間を要することになるため、相続の開始とともに手続きを進めることが後々の余裕につながるといえるでしょう。
なぜ被相続人の戸籍を収集して相続人の調査・確定を行うのかというと、思わぬ相続人が存在する可能性があるためです。被相続人に養子や隠し子がいた場合はその方も相続人となるため、すでに遺産分割協議が済んでいたとしても無効になってしまいます。
そうした事態を回避する意味でも、戸籍は早い段階で取得しておいたほうが安心です。
なお、被相続人の全戸籍謄本は相続財産(不動産や有価証券等)の名義変更にも必要な書類ですので、紛失しないよう大切に保管しましょう。
戸籍収集に時間を要してしまうケース
上記でもご説明しましたが、戸籍をそろえるにはかなりの時間と手間を要します。
実際にどのようなケースにおいて時間を要してしまうのか、主な内容は以下の通りです。
被相続人がくり返し本籍地の転籍を行っていた
一箇所の役場でそろうことはほとんどない戸籍ですが、被相続人が何度も引っ越しをしていてその都度本籍地を変更していた場合には多くの時間と手間を要します。
また、遠方から遠方へくり返し転籍していたとなると、さらに時間と手間はかかるものと認識しておきましょう。
不動産の名義が先代のまま変更されていない
被相続人が所有していた不動産ではあるものの、先代の名義から変更されていない場合には先代までさかのぼって戸籍を取得しなければなりません。
先代ともなるとその戸籍は古く、収集や内容を解読することも困難だといえます。
すでに亡くなっている相続人がいる
被相続人よりも先に相続人が亡くなっている場合、その相続人の子(孫・甥・姪)が代襲相続人となり財産を承継します。
その際は代襲相続できる方を確定させる必要があるため、被相続人だけでなく亡くなった相続人の戸籍も調査することになります。
相続人を確定したら相続関係説明図を作成
被相続人の全戸籍謄本を収集し相続人を確定できた際は、被相続人および相続人の続柄や生年月日、死亡年月日等を記載した「相続関係説明図」を作成します。
この相続関係説明図は相続財産の名義変更にも必要となるため、必ず作成しておきましょう。