受益者について
受託者が行う信託財産の管理運営により生じた利益を得る人を「受益者」、その権利のことを「受益権」といいます。
主に委託者によって信託契約で指定される受益者に特別な制限は設けられておらず、委託者自身や子供などの個人はもとより、法人を設定するも可能です。また、単独ではなく複数人を選択することもできます。
ただし未成年者や高齢者が受益者となる場合には、受益者の権限である受託者の業務履行を監督することが難しいため、別途「受益者代理人」を決めておいた方がよいでしょう。
受益者に関するルールと注意点
信託契約において、受益者に関係する注意点がいくつかありますので、下記をご参照ください。
■受託者と受益者が同一となった場合
信託契約が履行される中で、受託者と受益者が同一となってしまう場合があります。そうなると実質的に委託者が受託者に信託財産を譲ったのと変わりはなく、信託を利用する意義がなくなるため、1年限りで信託は終了となります。
■受益者が亡くなった場合
信託契約書に第2次受益者の指定があれば、受益者の死亡により受益権は第2次受益者へと移ります。このような信託を受益者連続型信託といいます。
なお、次の受益者について指定がない場合、受益権は相続の対象となり、法定相続人に引き継がれます。
受益者と税金の関係
そもそも信託財産を税金の観点からとらえると、「受益者=実質の所有者」となります。それゆえ、委託者と受益者の関係によっては贈与税の課税対象となる場合があります。
ケース1:自益信託:委託者A、受託者B、受益者Aの場合
AはBにそもそも自分の財産を託しているだけなので、生じた利益を得たとしても贈与税の対象とはなりません。
ケース2:他益信託:委託者A、受託者B、受益者Cの場合
CはAが信託した財産により利益を得ているので贈与として扱われ、年間110万円以上の利益があると贈与税が発生します。
このように、信託契約を設定する場合には税金の面についても注意が必要です。
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